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コンビニスイーツって独自の成長を遂げているよね

今回はデザイン業界だけでなく、業界外でも話題になっているローソンのPB(プライベートブランド)騒動について書いていきたいと思います。

ざっくりこの話題の概要。
ローソンではご存知の通り様々な商品が販売されていて、それらは大きく分けてナショナルブランド(NB)とプライベートブランド(PB)に分けられます。
簡単に言うと他社が作ったものと自社が作ったもの。

今回、話題となっているのは、ローソンが販売する数多くのプライベートブランド(からあげクン、おにぎり屋など)の中でも、最も多くの商品数を誇る「ローソンセレクト」ブランドのパッケージデザインリニューアルを実施したところ、各方面から様々な意見が寄せられ、twitterトレンドにもなり、ついには社長自らがこの件に関してのインタビューに答えるという、デザイン界で話題をかっさらってる事象です。

ちなみに、私は某大手宅配食品関連のPBパッケージデザインリニューアルのディレクションに過去携わっていたり、ローソンFCオーナー向け媒体に少しだけ絡んだいたりしたので、少しは本件の特性とクリエイティブ目線で(少しは)書けるかなと!
では、書いていきます! 

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まず、プライベートブランドってなんぞや

コンビニの外観はみんな一緒
コンビニのほとんどがこの外観なのなんでや。。。

プライベートブランドは自社で販売することを目的とし、製造した商品(ブランド)のことを言います。
それこそ企業自体が生産工場を設け、0から商品を企画・製造・販売しているものもあれば、メーカーに依頼してオリジナル仕様で製造したもの、メーカーが製造した商品のパッケージだけを変えて、自社PBとして販売しているOEM製品系もあります。

思い返してみると多くの企業がプライベートブランド開発に取り組んでいますね。
そもそもプライベートブランドのメリットは何なのでしょうか。

自社のブランディングとして

オリジナルの商品群ですので、基本的に他店での購入は出来ません(グループ企業の店舗にたまに売っていたりしますが)。
その商品群が有名になれば「〇〇と言えば■■」といった独自性と認知が拡がるので、自社のブランディングにも直接的に繋がります。

コストを抑えられる

例えば、人気のお菓子を作るためには、商品開発費だったり原材料費や生産環境整備も含めた製造費、広告費や物流費など、多くのお金が必要になります。
そして、そこまでやってもヒットするかどうかは不確定。。。

しかし、OEM製品だと既に味は保証されているし、製造をお任せするのであれば、新たに環境構築に関する費用はかからない、PB商品は大々的な広告を打ちませんし、多くの面でのコストダウンが計れます(なのでPB商品の値段は安い)。

ワンストップが有効

上記とは真逆になるのですが、既にPBを製造できる環境を所有していたり、原材料の仕入れに絶対的な自信がある場合など、自社で賄える部分が多かったり素地が確立できているのであれば、ワンストップだからこそ費用を抑えることも可能です。
ただし、ヒットしなければ在庫も抱えるし赤字も直撃ですけどね!

プライベートブランドを作ることは、企業にとってメリットが大きいです。
ただ、誰でも出来るものではなく、大企業だからこそできる施策なのは言うまでもありません。

ローソンが目指したもの

さて、ローソンに話を戻すと、「ローソンのあれが欲しい!」と言ってもらえるように、消費者の生活に寄り添うような、生活に馴染むようなブランドにしていこうと、(中には)味も含めたリニューアルを行ったと社長が仰っています。
下記に社長のインタビュー動画があがっていますね。

また、インタビュー前ではありますが、有識者の方々がnoteに自身の仮説や意見をアップしていますね。
私も拝見しましたが、共感や納得する部分がたくさんありました。

私にとってのコンビニは手軽に立ち寄れて昼ごはんやお菓子を買う場所です。
お昼意外だと、急いでいたり近場で済ませる必要がある時にだけ利用する場所。
普通に買い物すると高いですからね。

セブンイレブンのハンバーグが美味しいとか、ファミマのファミチキが美味しいとかありますが、もっと美味しいものは他にもありますし、あくまで「必要に迫られて」や「一考して」からの選択肢であって、なかなか「ローソンの〇〇がどうしても欲しくて!」には(個人的には)ならない。

結局のところ今回のローソンが目指したのは変わらず「ローソンの特別な〇〇(PB)」ではあるんですけど、今までや競合と異なるのは、「ローソンの〇〇が好きだから」ではなく「ローソンが好きだから」選ばれる、を目指したことかなと。

ローソンの商品ではなく、ローソンというブランドを今一度見直してみようといった感じで。
多様化した社会の中で選ばれるには、これまでの競争から外れて特別な存在になる必要がありますからね。

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今回のパッケージデザインについて思うこと

お茶は文字がないと判別できませんね。いやもともとか。
思うところはたくさんあるけれども。。。

個人的には前述のような背景があっても、たとえ未来のビジョンが素晴らしくあろうと、消費者にここまで否定されては失敗なのかなーと思っています。

あくまで、商業デザインですので購入の妨げになるデザインは…… と。
ただ、失敗が必ずしもダメなこととも思っていなくて、大規模なパッケージリニューアルでは往々にして起こりえる事象なのを知っています。

繰り返しになりますが、大規模パッケージリニューアルに関わった人間目線で言うと、コンビニのような特定の消費者層がなく(全世代に必要とされている)、地域性や店舗毎の独自性が薄く、消費者だけでなくFCオーナーやアルバイトスタッフにも配慮が必要、そのうえ680種?と言われている商品に統一感を持たせ、競合他社でなくローソンが選ばれるものであること。
これをデザインだけで解決するのは普通に難しいです。いや無理だな。

まず、680種?も扱うと必ずイレギュラーが発生します。
「このコピーは長いけど必ず入れなければいけない」、「この商品にはこの(デザインを崩すような)アイコンを入れる必要がある」、「この商品だけは中が見えるパッケージで」のように、最初に決めたトンマナは何だったんだ?と思うことが現実発生するのです。

もちろん引き合いに出した私の仕事に関しては私の実力不足なのですが、クライアント側の担当者も知らない商品やルールがいきなり出てきて、「流石にこの商品だけはルールから外れるなー、イレギュラーだわ」ってのが、全然イレギュラーじゃなく次々と出てくるのです。

あれ?こっちがレギュラー?ってくらいに。

そうなったら最後、、、ではなく、そこはみんな柔軟に対応して、またリニューアルを行う流れになります。
ローソンの社長も指摘があったものは変えていくと仰っていましたが、リニューアルしてから反応を見て、またリニューアルを行いアップデートしていくのは、ミスでもなんでもなく、大規模なプロジェクトだと平常運転の通過点だったりします。

これ、他のパッケージデザインだとあり得ないんですけど、プライベートブランドのような、何百種類ものパッケージデザインを一挙に変更するプロジェクトだと、もう本当に通過点。
最初からバッチリハマるのは良いに決まっていますが。

なので失敗では決してないんです。
そして、びっくりするくらいに不満に思っていた消費者や販売するアルバイトスタッフも新しいものに、徐々に馴染んでいくんですよね。

今回のリニューアルですが、担当された会社は私がデザイナーに憧れていたころから名が通っている素晴らしい会社です。

デザインに関しても皆が納得できるような万人受けのデザインを簡単に作れたと思います。
ただ、有識者のnoteにもありましたが、今回ローソンが目指したものは、これまでのコンビニのアップデートではなく、新たな分野への挑戦だったと思います。

多様化した社会において、全員が納得するようなデザインを目指すのは、皆が欲しがる機能を盛りだくさんに搭載したガラケーの系譜を継ぐことと何ら変わりありません。

そのレールから自らの意志で外れて、ローソン(あるいはコンビニ)の在り方から変えるような試みであったのならば、デザインもそれに応える新たなチャレンジになって当然です。

暮らしに馴染むこと、家に持ち帰っても馴染むようなデザインは、ナショナルブランドのしずる感あふれるパッケージのように「美味しそう!食べたい!」で選ばれるデザインではありません。
暮らしに馴染むデザインと食欲をそそるデザインは異なります。
そこを単純比較すること自体がナンセンスです。

急に発表された無印良品との契約

ここにきて、ローソンが無印良品とパートナーシップを結ぶことが発表されました。

ローソンで「無印良品」、商品の7分の1 コロナで日用品需要

出典:日経ビジネス

今後は無印良品の商品がローソンで販売され、新たなプライベートブランドも共同開発していくそうです。

ファミリーマートの棚にただ並べられていただけの無印良品が、生活に馴染むブランドを目指しているローソンと協業する。 日本人の暮らしをアップデートしリードしてきた無印良品との協業を見越したPBリニューアルデザインだとすれば、また違った見え方がしてきます。

ただひとつ言えることは、内装が既存のローソンのままだと、なかなか暮らしを売りにするのは難しいかなと。

いや、ライフスタイルの提案までは現時点ではいかないのかな?
ともあれこの話題、まだまだ続きそうです。

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