※当サイトは、数社のアフィリエイトプログラムに参加しています。記事内容は実体験・実感覚をもとに公平さを心がけています。

スポーツクラブのブランディングは面白い!

某社にてクリエイティブディレクターとして働く私が、最近嬉しく思うニュースは、様々な企業が経営陣の1人として、または業務パートナーとしてクリエイティブディレクターを採用しているというニュース。

それは企業がブランディングに取り組むにあたり、「ちょっと詳しい人を入れた方がいいんじゃないか」というプロジェクトの一環や、デザイン思考やデザイン経営という言葉にあるように、クリエイティブ人が日常的に行っているユーザーファーストな考え方を、商品開発やサービス向上に取り入れようとする狙いからだと思う。

素晴らしい時代の流れ!

これはクリエイティブディレクターという肩書の私にとっては、新たな挑戦や成長に繋がる可能性があるので「とっても大歓迎!」ではあるのだけど、実はそれよりも嬉しく思うのは、クリエイティブの価値やデザイナーの地位が日本でもやっと認められてきているように感じるからなのですよ。

一般的にデザイナーというと、成果物のオシャレさや美しさばかりを見られ、そこに至るまでのプロセスに注目を集めることは少ない。(時にはデザイナー自身が注目を浴びたり。。。)

そしてプロセスもさることながら、日々研磨し積み上げてきた「思考」の部分は「技術」よりも明らかに低くく見られていて、それは日本における「デザイン」は「形あるもの」もしくは「形作るのに直接的に関係しているもの」という間違った認知をされ続けているからだと思っているんです。

なので、そのような「技術」よりの評価ではなく、仕事の配分でも重要性においても多くの割合を占める「思考」の部分に注目が集まることで、ついに報われるのか!と思わず期待してしまう。

という訳で、徐々にではありますが、「デザインって実はものすごく重要なんじゃないか!?」と、これまで関心がなかった会社までもが、関心を持ち始めた今日この頃、真っ先に行動で示してくれた素晴らしいスポーツクラブがあってですね。
ちょっと、そのあたりを掘り下げていきたいと思います。

東京ヴェルディにネヴィル・ブロディ!?

東京ヴェルディというと、サッカーに詳しい人はもちろんご存知のことと思いますが、かつてヴェルディ川崎と呼ばれていた、キングカズやラモス瑠偉で有名な名門サッカークラブです。(もっと昔は読売クラブでしたね。)

私はサッカーが好きで東京ヴェルディも大好きなクラブなので、サッカーやクラブについては、なんぼでも語れますが、語りだすと止まらないのでそこは省略します。
現在はJ2が定位置になっていて、一般的なスポーツニュースに取り上げられることは、残念ながらほとんどありません。

そんな東京ヴェルディが、昨年注目を浴びたことがあって、それが見出しにある通り「ネヴィル・ブロディ」がクリエイティブディレクターとして東京ヴェルディに参画したというニュースでした。

ネヴィル・ブロディって誰?

ブランディングでサポーターが増えちゃうかも!?
そして君たちも誰?

ネヴィル・ブロディはロンドン出身の、バリバリ現役のアートディレクター/グラフィックデザイナーで、それはそれは昔から活躍している生ける伝説。

彼の作品として有名なのが「The Face」誌やレコードジャケット、MoMAのタイポグラフィあたりがありますが、デザインを生業にしていない人でもわかる事例で言うと、過去にはSupremeの1シリーズのグラフィックデザインをやっていたり、クリスチャン・ディオールのロゴを作ったり、サッカーW杯のNIKEユニフォームの背番号やネームのデザインをやっていたりと様々。

世界的な企業やアパレルにも呼ばれるトップクリエイターが、決してサッカー大国とは言えない日本の、しかもJ2のクラブチームのクリエイティブディレクターを引き受けていること自体がニュースなのですよ。

東京ヴェルディがブランディングに踏み切ったきっかけ

ヴィッセル神戸にあって、ガンバ大阪にあって、FC東京にあって、、、東京ヴェルディに無いものがあってですね、わかりますか?

そう、親会社が無いんです。

親会社が無いサッカークラブは海外にたくさんありますが、それは親会社なしでもやっていけるだけの入場料、スポンサー料、放映権料などが約束されているからで、サッカー大国ではない日本ではかなり厳しい環境といえます。
また、リーグ戦の分配金においても、上位チームに分配金の多くを与える構造ですので弱いクラブは弱いまま、親会社がないってのはかなりのハンデになっているんです。

なので、サッカーそのものを収益のメインとする場合は、まずは強くなる必要があります。

創立50周年を記念し、総合型スポーツクラブへの変遷を方針とした東京ヴェルディにとって、リブランディングを行い、サッカー以外のファンや潜在層とのタッチポイントを増やしていくのは必然で、さらに、国内でだけサッカービジネスを行うのではなく世界規模で行うにあたって、ネヴィル・ブロディもやはり必然であったのです。

さいごに

親会社がいないことで、東京ヴェルディのリブランディングが加速したと思います。

ブランディングはステークホルダーが同じ方向を向き、進めることが非常に重要ですので、そもそもブランドカラーが微妙に異なる可能性もある親会社との均衡は非常に難しいといえます。

また、サッカークラブにとって非常に重要なスポンサーの存在。
東京ヴェルディの新ユニフォームを見てもらうとわかるのですが、スポンサーロゴも東京ヴェルディのブランディングカラーであるゴールドに塗られています。

CIはその名の通りコーポレートアイデンティティですので、使い方にかなり厳しい制約があるのですが、今回のプロジェクトへの協力的な姿勢がいちファンとして非常にうれしいですね。

今後、リブランディングを行っていく日本のスポーツチームは増えていくと思いますが、やはり東京ヴェルディ(の前身)が日本初のプロサッカークラブであったように、いつまでもパイオニアスピリッツは持っていて欲しいと思いました。

スポンサーリンク
Recommend Contents