今回は、長くデザイナーを続けていくには何が必要か、について考えていきたいと思います。

今から20年以上前、私がグラフィックデザイナーを志していた頃を思い返すと、その時代のグラフィックデザインはアナログとデジタルの過渡期だったんですね。

アナログ/デジタルの移行が落ち着きだし、少しずつ成熟してきた頃に、WebデザインやUI/UXデザインが出現して、今では「デザイン経営」や「クリエイティブディレクターを経営層へ」みたいな動きもあちこちで囁かれています。

何年後かに今を思い返すと、「あの頃は〇〇への過渡期だったな。」と思うかもしれませんね。
という訳で、いちおう20年はデザイナーを続けていますので、新たなデザインフィールドが生まれたときの話も交えながら、これからのデザイナーについて思うところを書いていきたいと思います。

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ここ20年でデザインもいろいろ変わりました

ビジュアルが必要となるフィールドが新たに生まれたり、またはビジュアルが重要視されるほどフィールドが育ったタイミングで、新たな肩書きのデザイナーが誕生している印象です。

私がグラフィックデザイナーを志していた90年代後半は「Macを使用してデザインする」という、今で言うところのグラフィックデザイナー像はMacデザイナーと呼ばれていました。

Macを使ってグラフィックデザインをすることは全然当たり前ではなく、いわゆる「職人」が存在していた時代なので、Macを使うことを全員が歓迎していたとは言えませんでしたね。(Macデザイナーと呼ばれるだけでなく、そもそもグラフィックデザイナーはデザイナーじゃないよねー、なんて言ってる別分野のデザイナーが本当にいました。)

今ではグラフィックデザインだけでなく、MacやPCを使わないデザイナーはほとんどいないですよね。

そうやってフィールドが育ってくると、認識が一般化&共通化されて、いつのまにか〇〇デザイナーといった名称も定着していくように感じます。
デザインが必要とされるフィールドは時代によって変化したり、新たに生まれていくのです。

Webデザインが出始めたころの思い出

グラフィックデザイナーに関しては、まさにその在り方が変わる過渡期に当事者として居合わせましたが、WebデザイナーやUI/UXデザイナーに関しては、私がグラフィックデザイナーとして働いている間に誕生した新たなデザイン業です。

今でこそ、Webブラウザや制作するアプリケーションが進化し、多様な表現が可能になったWebデザインも、その当時はPhotoshop(もしくはFireworks)で四角い箱を並べているだけ、書体もガタガタなゴシックと明朝体のみ、デザイン性は限りなく低く、そもそも画像編集アプリケーションを使っている時点で、これははたしてデザイナーと呼べるのか、、、と正直思っていました。(デザインするツールはIllustratorだろ!と思っていました。)

紙媒体とは異なり、サイズという概念がそもそも無く(紙ほど囚われなくて良い)、情報量が多ければページを分ければ良いので、「A4に必ず収めなければいけない!」といった調整はそれほど必要なく、ある程度自由なレイアウトができることが非常に驚きでした。

予め守らなければいけないサイズがあり、その中に収めるために情報を削ったり、まとめたりする整理を学んできたのですが、情報を分けることで整理するのは新鮮な感じがしましたね。

(会社にもよりますが)紙媒体で言うと、それは制作する媒体数やパターン数に関わってくることなので、もう一段階上のディレクターの職域のような気がして、なんだか面白いなと思ってたような気がします。

ただ、Webに関していえば、全てブラウザの進化のうえで成り立っていて、昔は制限も多く、思うようなレイアウトは組めませんでしたね。

「このデザインだとコーディングできない。」とか。

とはいえ、Webデザイン制作の特徴である導線を含めたストーリー性の考慮だったり、今ではアニメーションやムービーといった表現を駆使することで、紙媒体以上に、企業や製品の「伝えたいこと」を伝わりやすく表現できるため、設計から考えなくてはいけない難易度やその遭遇率は、紙媒体よりWebの方が遥かに高いですね。(ちなみにムービーは文字・画像の5000倍の情報量があると言われているので、ムービーの設置が出来るようになった時点で情報量は桁違いです。)

Webデザインだけ見ても、数年で劇的な変化が起きています。日を追うごとに出来ることが増え、デザイナーの職域も現在進行形で拡大している印象です。

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Webはなんでも数値化・視覚化できてしまう

Webデザインがこれまでのデザイン媒体と大きく異なるのが訴求効果が数値化される点です。

例えば紙媒体の広告は、成果がデザインによってもたらされたものか、いまいち分かりづらいのが本音です。
潤沢な予算で数種のデザインを展開できたとしても、その効果検証はクーポン貼付からの来客や専用ダイヤルへのコールで測ることになりますので、効果がデザインの成果かは不明なままです。(クーポンに釣られて、、、があるので)

ところがWebですと、A/Bテストといった言葉が代表するように、デザインのアップデートやリニューアルは日常的に行われています。

成果が正確に数値化される世界ですので、無駄を削ぎ落すことや、インサイトを的確に射貫くキーワードを散りばめたりと、成果に直結した表現を最短距離で作り上げる仕組みが前提にあります。

どこの誰をターゲットにするかによって選択肢は変わりますが、Web(インターネット)によって数値が測れるようになり、より効果を優先したデザインが選ばれるようになりました。

広告デザインでいうと紙媒体からWebへの変化で、着々と求められているデザインがアップデートされています。
(メッセージ性の強かった頃の紙媒体の広告出身の人からは、インターネットが広告の文化を殺してしまったと感じている人もいるようです。)

デザインフィールドは変わっていくんやで

変わっていくんやで~

グラフィックデザイナーの過渡期から、Webデザインあたりまで書きましたが、UI/UXデザインもこの後生まれています。

新たなフィールドが生まれて育ち、主戦場は時代とともに移り変わっていきます。
ただし、これまでのフィールドは少なからず残ります、デザインが必要な分母が増え続けているのです。

主戦場が変わっていく行く中、デザインのテクニックやノウハウを蓄積するのは良いことですが、その媒体一辺倒にスキルを磨き専門性が増していくことは、この時代を生きていく、この先を生きていくには適していない考え方のような気がしています。

グラフィックデザイナーがMacデザイナーと呼ばれていた頃と、今のグラフィックデザイナーの技術力は比較できない程に違いますが、あの時代に新しいと言われていたグラフィックデザイナー達は、巨大なインターネットが紙媒体の数を減らしたため活躍できるフィールドも減少傾向です。

媒体に固執し邁進するも媒体が無くなれば意味をなさないのが現実です。

変化に囚われない能力を磨こう

私はデザイナーとは審美性と機能性の両輪のバランスをとってアウトプットに価値を付けていく者と思っています。

そこには技術(テクニック)と知識(センス)が必要です。
ただし、私がデザインを生業にしたたったの20年間だけでも、新たなデザインフィールドがいくつか生まれている状況です。
超一流でも巨匠でもないのであれば、変化の多い時代に媒体に偏った固有の技術や知識に注力するのは危険で、たとえその時代を代表されるフィールドであったとしても長い目で見れば、いつかは淘汰されてしまう一時的なものです。

せっかく身に付けた技術と知識は、アップルのプレゼンテーションひとつで次の年には必要のないものになってしまうのが現実だったりします。

ここで私が言いたいのは、いつかは無くなってしまうものに情熱を傾けることはナンセンス、ではなく、いつの時代も無くならないものを身に付け、どんな時代であってもサバイヴできるデザイナーを目指すべきだ!ということです。

それは「良いデザインを作成するには」というテクニックやノウハウを溜め込んだデザイナーではなく、そもそも「何を伝えるためのデザインなのか」という頭で考える部分に長けたデザイナーです。
デザインをする以上に避けては通れない、唯一変わらない部分で、最も当たり前で最も難しい部分と思いますが、この部分を伸ばす(伸ばし続ける)ことが、デザイナー唯一の生存戦略だと思っています。

デザインを依頼すると、真っ先にデザインテイストやカラーを聞いてくるデザイナーがいます。
(そのような仕事だけではありませんが)商品の特性やターゲットを知れば、それらは自ずと浮かび上がってくることです。

商品より先にデザインを考えるのではなく、商品の存在理由を見つけることが重要なことを忘れているのだと思います。
華美な装飾が施されたデザイン的に美しいと呼ばれる広告を見ても、実際に「美味しそう!」とか「行ってみたい!」と、ターゲットの感情が動かなければ、広告になんの意味もありません。

対象が持っている力を知る能力を鍛えることで、媒体に囚われないデザインができるのです。

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